【意外な真実!?】『ヤバい経営学』フリーク・ヴァーミューレン

書評ノート

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「ほとんどの買収は失敗する」ということだ。もうほとんど議論の余地がない事実だ。この問題については、実際に有り余るほどの信頼できるアカデミックな研究が存在する。買収案件のうちの七割は、企業価値を損ねていて、この傾向は何十年にもわたって続いている。
――『自信過剰の経営者は生まれつきか』

経営学の意外な真実がここにある。

なかなか面白い経営学の本

本書は、経営学で一般的に言われている常識を、研究結果を用いて、別の視点から眺めてみよう、という事例が多数収められています。

なんとなく感覚的に「そうだよなぁ」という点を、客観的な視点から論じてくれるのは、面白いですね。

特に経営者に対する考察は、なかなか楽しい内容でした。

▼目次・要約や著者情報は、楽天のページをご覧ください
ヤバい経営学

オリジナリティという模倣

本書で主に語られていることのひとつが、結局、周りの真似をしてしまう企業の行動についてです。

読んでいて、「あー、そうだよなぁ」って思う方も多いのではないでしょうか。

どこに新しい工場を作るか、どの市場にこれから進出するか、どんな新しい組織に変わるのか、どんなガバナンス形態をとるのか。経営者が選択するべきことは非常に多い。そんな経営者の選択や決断に関する一つの研究がある。その研究によると、経営者の最大の関心事は「競合他社はいったい何をしているのか?」ということだ。そして多くの場合、経営者がやろうとすることは、競合他社がやっていることと同じことなのだ。(p9)

これも、あるあるですよねぇ。

経営者は業績好調のときは自分の努力の結果だと主張し、業績不調のときは外部環境のせいだと主張する。しかし、競合他社の業績になると、このバイアスは逆さまになる。経営者は、競合他社の好業績を外部環境のせいにし、競合他社の不振はその会社の経営者の問題のせいにするのだ。(p114)

よくこんなことを言いがちな方、いますよね。

取締役の矛盾

取締役、という役割は、日本に比べてアメリカの方が当然進んでいると思われているわけですが、それでも、実態は色々なようです。

「社外取締役は、会社の方針に重大な懸念を持っていても、会社の戦略についてあまり反対しない」という事実を発見した。(p17)

あとは、こういう話題も。なるほどって感じですね。

経営者は自分に似た人が好きで、そういった人を取締役に選ぶ。しかし、それだけではなく、自分のことが好きな人たちを選ぶ。そして、そのようにして選ばれた取締役は、経営者に高い報酬を与える。結局、取締役たちの目には、「私たちの経営者は素晴らしい経歴を持っているではないか!」と映るのだ。(p153)

意外な真実?

なるほどって思える話はいくつかありましたので、ご紹介しますね。

グローバル企業25社の成長戦略を調べたものがある。この調査は、まさにこの時間圧縮の不経済を示している。穏やかなペースで着実に成長したほうが、爆発的に成長したときよりも結果的に儲かるのだ。(p83)

ストックオプションと従業員の関係についてはよく目にする話題ですが、経営者についてはどうでしょうか。

ストックオプションを多く抱える経営者は、大勝よりも大敗することのほうが多い。(p159)

給与は、絶対的な金額よりも、相対的な金額の方が、満足度に影響を与えますよね。行動経済学でも話題になっていた論点だったと思います。

選手間の給与があまり変わらないほうが、チームとしての成績が良かったのだ。給与格差が大きいほど、個人成績は低くなった。そして、想像できるかもしれないが、給与の低い選手は特に個人成績が振るっていない。(p279)

イノベーションなんて必要ない??

「日本にはイノベーションが足りない!」って盲目的に言っている人がいますが、遠くから眺めてみると、意外な結果が。

イノベーションによって、会社が数年にわたって成長したかだ。そして、その答えは「No」だ。実際にはむしろ、イノベーションによって成長のスピードは遅くなっていた。(p227)

なかなか面白い話です。

イノベーションを起こす企業は、その他の企業よりも成長で後れをとっていた。イノベーションの直接的な結果として、成長が遅れていたのだ。(p227)

イノベーションは、いらないのか?

イノベーションを起こす者は、そうでない者よりも失敗する。リスクを取らない者よりもだ。平たく言えば、「イノベーションを起こす会社は早く死ぬ。ほとんど例外なくだ」。リスクとリターンのトレードオフすらない。統計結果が言っているのは、「イノベーションをめざすべきではない。そうすれば、イノベーションを起こす人よりもリスクを取らずに高いリターンを得られる」(p228)

イノベーションはすべきではない、という結果が出ていたとしても、著者としては、そのリスクがあった上でも、世の中にはイノベーションを起こす企業が必要だ、と述べていました。

確かに、そうかもしれません。

書評のまとめ・感想

さらさらっと読める内容のわりに、面白い話が多かったと思います。難しい内容でもないですし、気軽に読める経営学の本だといえます。

一般的に言われていることにちょっと疑問を感じたとき、本書を手にとったら、ヒントが得られるかもしれません。

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