【実践的!】『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』山田修

書評ノート

Pocket

トム・ピータース自身が「『エクセレント・カンパニー』の中で我々はデータをねつ造した」と認めてしまったではなりませんか!
「あれはマッキンゼーのゴミ箱から出て来たがらくたで、『ヒップ・ポケット・プロジェクト』、全くのでっち上げだったんだ」
――どこへ消えたか、あの『エクセレント・カンパニー』

一生使わない「経営戦略」よりも、明日から使える「経営戦略」を。具体的な作り方が紹介されています。

今からできる実践的な経営戦略の立て方

本書の冒頭から「エクセレント・カンパニー」を一刀両断。代表的な経営戦略は、どこまでが机上の空論で、どういう視点で使うのがいいのか、解説をしています。

解説が充実していて面白いのですが、本書のメインは、「戦略カードとシナリオライティング」技法について。

作業の手順が具体的なので、すぐに取り組めます。経営戦略を立てる立場ではなくても、日々の仕事でも使える技法だと思います。

▼本の目次や要約は、楽天のページをご覧ください。
本当に使える経営戦略・使えない経営戦略

使える経営戦略「シナリオライティング」

著者が実際に使っている戦略立案プロセスをご紹介します。本書のメインです。

「戦略カード」を使いながら、「課題解決型戦略立案・5つのステップ」を通して、戦略シナリオのパッケージが完成します。

■ステップ1(1人ブレーンストーミング)
【目標の設定】
「3年目標」のカード出し、選定、理由の裏書き

■ステップ2(コミュニケータブル)
【目標合意】
資本家、役員会など

■ステップ3(気づき)
【課題の発見】
カード洗い出しから重要課題、理由の裏書き

■ステップ4(思いつき)
【解決策の策定】
課題それぞれにカード出し、重要カード、理由、戦術カード

■ステップ5(リスク・マネジメント)
【派生問題と対処】
重要生涯と対処策カード

5つのステップの具体的な手法が、本書で詳しく説明されています。一番ページ数が割かれているところですので、気になった方は、ぜひ本書をご覧ください。

作業手順がすごく具体的で、今すぐに取り掛かれます。

あと、戦略カード等は、著者のホームページに掲載されていますので、ご興味あれば、ご覧ください。発表用スライドのテンプレートも配付されています。

http://senryaku.p1.bindsite.jp/

ミニ・シナリオの作成

5つのステップの次は、「ミニ・シナリオ」の検討を行います。全体像をまとめると以下のようなイメージです。

  1. 5つのステップで「戦略カード」を作成
  2. 「ミニ・シナリオ」
  3. 「シナリオ・ツリー」
  4. 「シナリオ・ライティング」
  5. 「戦略パッケージ」の完成

5つのステップ後の作業について、簡単にご紹介します。

「課題解決型の戦略立案法」で5つのステップを踏み終わると、手元には選ばれた30枚強の戦略カードが残ります。全てのカードの裏には、「どうしてこのカードを選択したのか」という理由が書かれています。

また全てのカードは「ミニ・シナリオ」のどれかに組み込まれています。「ミニ・シナリオ」はそれに結合して全体として大きな「シナリオ・ツリー」を構成しています。(p101)

「重要課題カード」を3つ掲げてそれぞれに3つの「解決策カード」を設定する場合、3✕3で9つの「ミニ・シナリオ」が掲載されます。これら9つの「ミニ・シナリオ」がひとつの「シナリオ・ツリー」を形成しているわけです。(p104)

「個々のミニ・シナリオが論理的につながっている」というのが最低条件だそうです。

  1. 課題の発見
  2. 解決策の策定
  3. 派生問題(重大障害)
  4. 対処法

個々の「ミニ・シナリオ」の集合体が、全体の「シナリオライティング」につながります。

経営戦略立案のプロセスが、非常に具体的にわかりやすく丁寧に説明されていますので、ぜひ一度本書を読んでみてください。

本書のメインをひと通りご紹介しましたので、あとは、私が気になったところをピックアップしていきたいと思います。

星野リゾートの「コンセプト経営」

星野リゾートの再生経営術や「コンセプト経営」について紹介されています。

経営再生をするとき、以下のような初期の経営ステップを踏むそうです。

  1. 現場の社員と「個別面談」を行う
  2. そのリゾートに関する徹底的な「市場調査」を行う
  3. そのリゾート個別の「コンセプト」を現場の社員たちに立てさせる
  4. 「コンセプト」を承認した後は「信頼して任せる」

これら4つのステップの中で、星野社長が最も重要だと考えているのが実は「コンセプト」作りなのです。だから、星野社長の再生経営術とは、実は「コンセプト経営」と呼ぶことができます。(p47)

著者がユニクロの幹部候補に?

読んでいておもしろかったのが、著者がヘッドハンターからユニクロへ誘いを受けた、という話。

実はかくいう私も、2006年にとあるエグゼクティブ・サーチの会社から、
柳井社長に会ってくれないか、玉塚さんの後任で海外M&Aプロジェクトを仕切ってくれる人を探している」
と、誘ってもらいました。(p32)

玉塚さんの後任って、すごい話ですよね。あと、著者がアメックス勤務時代の話。

私は30代の初めにアメリカン・エキスプレス日本支社に勤務したことがあり、一度だけ日本支社の来期の事業計画書のとりまとめをやらされたことがありました。毎年続いていた書籍はほぼ一定で、300ページ以上からなるその計画書は「ザ・ブック」と呼ばれていました。(p153)

PEST分析を50ページ前後、書かないといけなかったそうです。

代表的な経営戦略がズラリ

本書で充実しているのが、代表的な経営戦略理論を簡単に紹介していることろです。

ちなみに、「使えない経営戦略」として紹介されているのが、以下のような有名な経営理論。

  • エクセレント・カンパニー
  • コア・コンピタンス経営
  • エクセレント・カンパニー
  • ビジョナリー・カンパニー
  • ゲームセオリー
  • ブルー・オーシャン戦略

現実的な視点から、バッサリ斬っています。

そのほか、本書で登場するコンセプトや分析について、一覧にしてみました。

  • VRIOフレームワーク
  • イノベーションのジレンマ
  • ストーリーとしての競争戦略
  • ランチェスター戦略
  • PEST分析
  • 5F分析
  • 4つの競争地位分析
  • SWOT分析
  • 3C分析
  • 7S分析
  • 4P、4C
  • プロダクト・ライフ・サイクル
  • プロダクト・ポートフォリオ(PPM)
  • マイケル・ポーターの競争戦略

こうして一覧を見ると、代表的なものが並んでいますよね。

「本当に使える経営戦略・使えない経営戦略」を読めば、とりあえずひと通り、定番は押さえられます。概要を知っておくには、導入としていいかもしれません。

本書のまとめ・感想

「戦略カード」と「シナリオライティング」の具体的なところが、一番おもしろかったんですが、詳細を紹介しはじめると、かなりのボリュームになってしまいます。今回は割愛させていただきました。

定番の経営戦略を簡単に紹介しながら、なぜ「使えない」のか、腑に落ちる説明をしつつ、すぐに取り組める実践的な「使える」経営戦略の立て方を説明しています。

経営戦略だけじゃなくて、普段の仕事や、自分の人生設計、いろいろな場面で応用できそう内容でした。

読み応えがある本なのですが、読みやすくてスラスラ頭に入ってくる。わかりやすくて実践的。オススメです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

[書評] 『社畜のススメ』~社畜度診断つき!~藤本篤志

「社畜見習い中!」というブログを始めたからには、書評の1冊目は、『社畜のススメ』にしようと思っていま

記事を読む

【自伝】『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢』ポール・アレン

「もしも起業したらどうなるか」を空想したのだ。一度、ビルに「何もかもうまくいったとしたら、僕たちの会

記事を読む

【ひろゆき×ホリエモン×勝間和代】『そこまで言うか!』を今更ながら読んでみた。

西村:まだ、「ブタ」と呼ばれるのは慣れていないんですか?堀江:デブとブタって言われるのは慣れたけど。

記事を読む

【起業の裏側】『成金』堀江貴文

「私にはこう聞こえるのですよ」もう一方の手を胸に押しつけた。「稼げ、奪え、儲けまくれ、と。ウォール街

記事を読む

no image

【名著復刊!】『新訳 成功の心理学』人生の勝者に生まれ変わる10の方法 デニス・ウェイトリー

真の”勝利”とは、ただ自分の持っている能力を、自分なりにとことん追求することを意味するのだ。”勝利”

記事を読む

【アマゾン倉庫の実態】『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』横田増生

「僕のベゾスに対する第一印象は、童心を持ったビジネスマンというものだ。何回か話をするうちに、既成概念

記事を読む

【ハフィントン・ポスト創設者】『誰が中流を殺すのか』アメリカが第三世界に堕ちる日 – アリアナ・ハフィントン

「アメリカ人の5人に1人が失業中か不完全雇用の状態にある。9世帯に1世帯がクレジットカードの最低支払

記事を読む

【高校での熱い指導】『就活先生:内定を勝ち取るための31のステップ』竹中 紳一

まず、絶対に自分を信じること。過去の自分がどうだったかなどは問題ではありません。過去は過去、後悔して

記事を読む

【戦略論の第一人者】『良い戦略、悪い戦略』リチャード・P・メルト

リーダーが戦略実行に使える強力な手段の一つは、近い目標を定めることである。近い目標とは、手の届く距離

記事を読む

【これは必読!】『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』ぐっちーさん

はっきりいいますが日本中で悲観論が主流になるのは消費税を上げたくてしょうがない財務省のプロパガンダで

記事を読む

 
  • 名前:いろはに(@irohani_123

    30代のサラリーマンです。のんびりとした日々を送っています。書評、英語、気になったニュース等をアップしていきます!

    >>詳細プロフィール
    >>お問い合わせ先




PAGE TOP ↑