【ネタバレなし】で『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の紹介&感想 村上春樹新刊

書評ノート

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『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を未読・未購入のひとに、作品を紹介してみる記事です。読もうかどうか迷っている方は、試しにこの記事を読んでみてください!ネタバレしないように書いているつもりですので、ご安心を。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

 

でも、実際、読んでみたら、「この記事、ネタバレしてるじゃん!」っていう内容があったら、教えてください。

内容は買ってからのお楽しみ!

発売日に一気に品切れ状態、随分ニュースになっていましたね。もうすぐ100万部突破になりそうですね。

村上春樹おそろしや・・・。それだけ売れちゃうと、嫌でもストーリーが耳に入っちゃいます。でも、事前知識ゼロで読んだ方が、きっとおもしろいと思います。

でも、アマゾンのぺージで、クチコミの点数の分布を見ると・・・見事なまでに賛否両論なのがわかります

あと、面白いクチコミあるっていって話題になりましたね。参考になった人数が、2万人弱・・・。長文で面白いんですが、内容が完全にネタバレなので、お気をつけください。

気になった方は、一度チェックしてみてください。
▼アマゾンのページ▼
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

では、レビューにうつりますね。

ネタバレ嫌いな私の性格

※ここは、読み飛ばして大丈夫です

小説の文庫本って、裏表紙に、簡単なあらすじが書いてありますよね。私、あのあらすじを読むことさえ、なるべく避けるくらい、ネタバレが嫌いなんですよね。

村上春樹的マーケティング活動」の記事に書きましたが、今回の村上春樹の新刊は、事前に一切ストーリーを知らせない、という打ち出しでしたよね。

で、私は『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、発売日当日に買いました。熱狂的なファンというわけではなく、単純に、時間が経つと、ネット上のブログやニュースで、作品の内容やネタバレを必ず目にしちゃうと思ったんですよね。

タイトルを検索しただけでも、ちょっと内容わかっちゃうこともありますもんね。

ということで、今回は、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』について、タイトルの意味や、登場人物、ストーリーなどに一切触れることなく、紹介していきたいと思います。

レビューとして、どこまでうまくいくのか、わかりませんけど・・・。

ちなみに、タイトルの意味は、読めばすぐにわかると思います。いつも通りといえば、いつも通りです。

「国境の南、太陽の西」に雰囲気が似ている

最初に私の評価からいうと、期待を裏切らない作品だったと思っています。おもしろかった。

まず、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を途中まで読んでいて感じたのが、『国境の南、太陽の西』と似ている、ということ。

本作品の特設サイト

『1Q84』がいわば
ジェットコースター的な物語だったので、
それとは少し違うものを
書いてみたいという気持ちがありました。
それがどんなものなのか、
書いてみないとわからなかったけれど(著者談)

と、書いてありますが、まさにその通りの内容だと思います。

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 | 特設サイト – 本の話WEB

つまり、「海辺のカフカ」や「1Q84」などのような、ストーリーがどんどん展開していく、先が気になる、という作品のテイストとは、少し違います。もう少し、淡々と話しが進んでいくような作品です。

私は、村上春樹の作品のなかで、「国境の南、太陽の西」は非常に好きな作品のひとつですので、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、好みにピッタリだったんですよね。

本作品が、好きかどうかは、村上春樹のどの部分が好きなのかによるのかな、と思います。

文体、作品の雰囲気、ディティールの描写、何気ない会話とか、そんなのが好きな人には、面白い作品ではないでしょうか。

映画でいえば、「かもめ食堂」や「めがね」、ジム・ジャームッシュの映画、そういうのが好きな人だと、しっくりくると思います。

起承転結があって、ちゃんと伏線回収して、オチがあって・・・、みたいなスッキリした小説を求めると、ちょっと違うかもしれません。ジェットコースター的ではない、というのはそういうことかと。

4つの時間軸

詳しくは触れませんが、作中では、時間軸が4つあります。

村上春樹作品では、いつも特徴的な、最も古い時間軸の話

一番は「ねじまき鳥クロニクル」だと思いますが、今回も、相変わらず面白いです。お楽しみに!ちょっとボリュームが少ないのが残念ですけど。

「今」とそれ以外の時間軸の関係性が、読み進めていくうちに、おもしろくなっていきます。

時間の経過がもたらすもの、抱く感情。読んでいると、あぁうまいなぁって思いました。そんなことを思っちゃう年齢になってしまったのかもしれません。

「村上春樹らしい」。でも、「村上春樹らしくない」

タイトルの意味、登場人物、作品の雰囲気や文体など、全体的にみると、「あぁ、村上春樹だなぁ」と読んでいて感じます。最初から最後まで。

ただ一方で、個人的な印象ですが、なんというか「村上春樹らしさ」が薄まっているような印象を受けました。

「これぞ村上春樹」みたいな書き方、ありますよね?ディテールとか。その特徴の「強さ」が弱まった、といいますか。んー、うまくいえない。

ぜひ、お読みになってみて、もし同じ印象をお持ちになったら、うまい表現の仕方を教えて下さい・・・。的確な表現が見つかりません。

村上春樹嫌いな人でも、読みやすい作品になった、とでもいえばいいんでしょうか。違うなぁ。

ネタバレなしで、好きな文章をご紹介

最後に、好きになった文章をずらーっとピックアップしていきたいと思います。

ネタバレにならないように、抜粋内容は、ページ数表記なし、順番をシャッフルして、適当に並べています。

ということで・・・どうぞ。

「誰だって重い荷物は好きじゃないさ。でも気がついたときは重い荷物だらけだ。それが人生だ。セラヴィ」

「そのとおり。そういうことだ。実際に跳躍してみなければ、実証はできない。そして実際に跳躍してしまえば、もう実証する必要なんてなくなっちまう。そこには中間っていうものはない。跳ぶか跳ばないか、そのどちらかだ」

「君に欠けているものは何もない。自信と勇気を持ちなさい。君に必要なのはそれだけだよ」

「たとえ君が空っぽの容器だったとしても、それでいいじゃない」 (中略) 「もしそうだとしても、君はとても素敵な容器だよ。自分自身が何であるかなんて、そんなこと本当には誰にもわかりはしない。そう思わない?それなら君は、どこまでも美しいかたちの入れ物になればいいんだ。誰かが思わず中に何かを入れたくなるような、しっかり好感の持てる容器に」

「いいか、これからおれたちは勝つ。おれたちにとっての問題はどのようにして勝つか、どれくらい勝つかだ。負けるという選択肢はおれたちにはない。いいか、負けるという選択肢は、おれたちにはない!」

「大事なのか勝とうという意志そのものなんだ」と彼はよく言ったものだ。「実際の人生で、おれたちはずっと勝ち続けることなんてできない。勝つこともあれば、負けることもある」

「記憶を隠すことはできても、歴史を変えることはできない」

「生きている限り個性は誰にでもある。それが表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけだよ」

「君は自分の気持ちを正直に口にしているだけだ。言い訳とは違う」

「限定された目的は人生を簡潔にする」

「それに僕の場合、それを作ることに情熱を燃やしているというほどのことでもない。ただ限定された対象に興味を持っているというだけだよ」
「失礼なことを言うようですが、限定した興味を持てる対象がこの人生でひとつでも見つかれば、それはもう立派な達成じゃないですか」

「どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはあります」

「自由を奪われた人間は必ず誰かを憎むようになります。そう思いませんか?僕はそういう生き方をしたくない」

「どんなことにも必ず枠というものがあります。思考についても同じです。枠をいちいち恐れることはないけど、枠を壊すことを恐れてもならない。人が自由になるためには、それが何よりも大事になります。枠に対する敬意と憎悪。人生における重要なものごとというのは常に二義的なものです。僕に言えるのはそれくらいです」

世界はそんなに簡単にでんぐり返りなんかしません (中略) でんぐり返るのは人間の方です。そんなものを見逃したところで惜しくはありません。

嫉妬とは (中略) 世界で最も絶望的な牢獄だった。なぜならそれは囚人が自らを閉じ込めた牢獄であるからだ。誰かに力尽くで入れられたわけではない。自らそこに入り、内側から鍵をかけ、その鍵を自ら鉄格子の外に投げ捨てたのだ。そして彼がそこに幽閉されていることを知る者は、この世界に誰一人いない。もちろん出ていこうと本人が決心させすれば、そこから出ていける。その牢獄は彼の心の中にあるのだから。しかしその決心ができない。彼の心は石壁のように硬くなっている。それこそがまさに嫉妬の本質なのだ。

「休暇と友だちは、人生においてもっとも素晴らしい二つのものだ」

本編に直接的に関係ない文章をピックアップしていますので、これを読んでもピンとこないのかもしれません。

でも、読んでみて、「この文書いいかも」って思った方は、ぜひ実際にお読みいただければ、楽しめると思いますよ!

たぶん、続編はない作品だと思いますが、「この物語がもう少し続いて欲しいなぁ」っていう名残惜しさがある作品でした。

ぜひ、みなさんの感想をお聞かせください!

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