『就活のしきたり』~踊らされる学生、ふりまわされる企業~石渡嶺司

書評ノート

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では、なぜ自己分析がここまで就活で浸透したのでしょうか。理由は簡単で、自己分析を推進する就職情報会社などが儲かるからです。
自己分析をやりすぎたり、過信しすぎる学生は、まちがいなく内定が取れません。その現実を無視して、自己分析をやれ、とけしかけるのは、いかがなものでしょうか。――「そもそも自己分析とは何か」p96

フラットな就活論と、欄外のネタとのバランスが絶妙でした。就活終わってから読んでも、面白いと思います。

就活の疑問をわかりやすく一問一答。まさに”就活のしきたり”

著者の石渡嶺司さんは、就活関連で

といった有名な本を出しています。就活ノウハウ本で儲けよう、というスタンスではなく、あくまでフラットな視線で就活を描いているのが特徴的です。

「変に惑わされない」素直な就活事情を知ることができますね。

今回の「就活のしきたり」は、見開きで1テーマ、1問1答形式で、ネタも織り交ぜつつ、さらっと読める楽しい就活本です。

就活生の素朴な疑問に対して、フラットな視線で答えてくれます。

  • 就活は顔で決まる?
  • 国立大学は就職に不利?
  • 女子大は就職に強い?
  • お酒が好きだと就活に強い?
  • 読書量と内定の相関関係
  • 浪人・留年はやっぱり不利か
  • 企業選びに法則はあるか
  • OB訪問の真の目的
  • 会社説明会に飛び込みで入れる?
  • エントリーシートの文章のコツ
  • 日本の就活はおかしい?

などなど。

女子大は就活に強い?

こんな話って、いまだにあるんですね。

さらに某女子大には、某中央省庁の一般事務職への採用ルートがあります。が、じつはこれ、会計上は人件費に計上されていません。なんと物品扱いになっているのです。そして、二十五歳になると強制的に退職。要するに「二十五歳までに若手官僚と結婚しろ。できないなら辞めてくれ」というわけです。
モノ扱いの女性を見繕って結婚相手にしてしまう若手官僚もすごいですね。(p49)

圧迫面接について

本当の圧迫面接って受けたことがないのですが、「意図的に無愛想に面接をする」面接はありました(後で教えてくれました)。

いまどき、極端な圧迫面接をする企業はほとんどありません。
むしろ多いのは圧迫面接もどき。これは取りようによっては人格否定ともいえます。
ただし、これは断言できますが、圧迫面接もどき、90パーセントは企業側に圧迫面接をするつもりもなければ、人格否定をしている意識もありません。要するに学生側が勝手に思い込んでいるだけです。(p152)

この辺は、実態はどうなんでしょう?

OBのいない企業はどうすればよいか

OB訪問って、意外に面白いですよね。半分趣味でした、あれは。今からでも、またやってみたいくらい。

効率のいい方法をいくつか。
まずは大学の教員ルート。ゼミには該当者ゼロだった?いえいえ、志望業界に関係がありそうな教員を捕まえて聞いてみるのです。同じ大学なら相手にしてくれるはず。え、いない?なら、近隣大学にまで範囲を広げてみましょう。いまでは大学間の単位互換制度などが進んでいますから、けっこう門戸は広いはずです
ほかにも、志望業界と関連するシンポジウムに入り込むとか、会社説明会の際に「後日、相談にのってほしい」とダメもとで依頼するとか、いろいろ。OBがないからといって断念するのは損です。なんとか探してみてください。(p122)

OB訪問、いちばんうまいのは、私のこれまでの取材経験では慶大生ですね。大学OBだけでなく、自分が参考になりそうな社会人には、どんどん声をかける積極性があります。(p116)

会社説明会後の質問で、「本日は、貴重はお話ありがとうございました。慶應義塾大学の~(または、早稲田大学の~)」を飽きるほど耳にする法則。いいことです。

新卒一括採用って必要なの?

「日本の就活っておかしい?」のコラムが、非常に面白かったです。

新卒一括採用・終身雇用がなくなれば、5パーセントの優秀な学生、いわゆる「すごい学生」は得をします。風通しもよくなるでしょう。しかしそれ以外、95パーセントの「ふつうの学生」は確実に損をします。(p194)

全文載せたいくらいですが、続きは本書をぜひお読みください。

エントリーシートの文章のコツ

文章のコツは、シンプルに3点だそうです。たしかに。

文章のうまい下手ですが、「長文にしない」「接続詞をうまく使う」「抽象表現より具体的なエピソード」、ポイントはこの三点です。(p142)

え?エントリーシート本でいいのをすすめろ?それなら『すべらない就活』(原田康久、中央公論社)が一押しです。著者は読売新聞採用担当デスク。採用担当者の視線から、太字・マーカー使用がアウトの理由など具体的です。(p143)

ここで紹介されている『すべらない就活』が面白そうなので、今度読もうと思っています。

別のところで紹介されいてた『仕事漂流』も面白そうです。

『仕事漂流』(稲泉連、プレジデント社)というロスジェネ世代のしごと模様のルポがあります。優れたルポであり、このなかに、まさにリクルーターのいいかげんな「できる」にだまされた社会人が登場します。
リクルーターの話すことはあくまでタテマエ論ばかり。ほんとうかどうかを知るためには、別にOB訪問をしたほうがいいでしょうね。(p120)

欄外のネタが全力「ブラックしきたり」

「就活のしきたり」の各ページの下、欄外部分、見開き左に「ブラックしきたり」、見開き右に「就活オススメ本」と「就活データ」が書いてあります。

「ブラックしきたり」のネタが、ネタ満載すぎて面白かったので、一部ご紹介しますね。

  • 20XX年、「小学生から就活を考えるナビ」がオープンとのウワサが
  • 女子学生をヘンな美人局かと怖がる草食系リクルーターがいるとのウワサが
  • 不況にあえぐ出版業界は「1000冊読書で内定」との風聞を流す予定とのウワサが
  • 「iPhoneなら内定も取れる」がキャッチコピーのCMあたりが近日中に放送されるとのウワサが
  • 学生には否定できるほどの人格がなく、たんに自意識過剰なだけとのウワサが
  • 「彼女にフラれたことが最大のニュース」だと面接そっちのけになるとのウワサが
  • 一部識者のあいだでは「新卒至上主義がすべての元凶」と決めつけるのが快感とのウワサが
  • この欄外で何を言いたいのか、著者自身がいちばんわかっていないとのウワサが

ネタ・・・ですな。

「就活オススメ本」は、今からでも読んでみたい本がたくさんありました。これから就活をする学生さんも、就活を終えたばかりの学生さんも、きっと役立つ本に出会えると思いますよ!

就活対策本にどっぷり浸かる前に、「就活のしきたり」のような本を一冊読んでおくといいのかもしれませんね!社会人の私が読んでも、結構楽しめる良書でした。

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