【一度は読みたい】『サラリーマン漫画の戦後史』真実一郎
サラリーマンには2種類しか存在しない。『宮本から君へ』が大好きなサラリーマンと、『宮本から君へ』が大嫌いなサラリーマンだ。――『崩壊するサラリーマン基盤』
サラリーマン漫画を色々探していたので、ちょうどいい1冊を見つけました。読みたい本がたくさん!
サラリーマン漫画もわるくない
会社や仕事を舞台にした映画や小説って、結構好きなんです。漫画で何かないかなぁと探していました。
『課長島耕作』に代表されるサラリーマン漫画。『島耕作』を中心軸として、その周りには、色々な漫画があるようです。
読みたくなった漫画、気になる解説を中心にご紹介していきたいと思います!(半分メモです)。
登場する漫画の一覧は目次で確認
今回ご紹介するは、一部だけです。どんな漫画が取り上げられているのかは、アマゾンの目次を見ると、ひと通りわかります。
▼Amazonのページ▼
サラリーマン漫画の戦後史
わざわざメモしなくても、目次で十分そうです。「ツルモク独身寮」もあるなぁ・・・。
汗と涙と拳と土下座『宮本から君へ』
記事冒頭で抜粋しましたが、結構気になる漫画です。絵がなんか怖いがな・・・。
文具メーカー「マルキタ」に勤務する、「物わかりのいい大人」になりきれない不器用で熱い新人営業、宮本浩を描いた作品だ。
「バブル期の日本で最も嫌われた漫画」という、2009年の復刊時の帯に書かれたコピーは、あながち誇張ではないだろう。もっとも、正確に言えば連載当時は既にバブルは崩壊していたけれど。(p111)
なんか興味出てきませんか?こんな風に書かれていると。
明るくてオシャレなライフスタイルが無条件で肯定された、軽佻浮薄なバブルそのもの、つまりトレンディドラマ、ディスコ、高級レストラン、島耕作、ツルモク独身寮、苗場プリンス、そしてそうした文化に浸って呑気に暮らすサラリーマン、そうしたもの全てが宮本にとっての敵なのだ。(p114)
後半はわりとバイオレンスな展開らしいです。
一円起業の顛末『ヒーローズ』
時代の波に乗って描きましたって感じっぽいですが、意外に読んでみたいマンガです。
2000年代を考える上で無視できないのが起業ブームだ。
クビになった2人のサラリーマンが主人公で、サラリーマンにとってより身近なものとして起業が扱われる。(p148)
単行本1巻の帯には、当時ライブドア社長だった堀江貴文の写真が掲載され、「ライブドア社長堀江貴文、愛読中!」と謳われていた。(p149)
一円起業のプロセス自体はリアルに辿られ、原価計算から資金調達まで、会社を興す際に直面するトラブルの数々が丁寧に描写されている。(p150)
「気心の知れた友達と毎日ワイワイ楽しくやって……それなのに 生活まで出来ちゃうなんて こんないい事はないなって思ってたんだ……」(p152)
今の時代だからこそ、あえて読んでみるっていうのも、いいのかなぁと思いました。
下流化する仮想敵『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
グダグダっぽいけど、今風でおもしろそう。
起業や転職がもてはやされたのは一瞬のことであり、大きな流れとしては2000年代は格差社会論や下流社会論が噴き上がった時代ということになる。そんな2000年代半ばに登場した『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は、仕事も恋愛も負け続けている27歳の弱小企業サラリーマンの物語だ。(p158)
主人公の田西敏行は、「ガチャガチャ」の玩具を開発・販売する「斎田産業」営業部に勤務する、テレクラ通いが趣味の非モテ・サラリーマン。可愛い後輩の植村ちはるといいムードになるものの、結局うまくいかない。そうこうしているうちに・・・(p159)
仕事よりも恋愛とバイオレンス中心の話らしいですが、普通に漫画として面白そうな感じがします。
貴重な実録サラリーマン漫画『サラリーマン田中K一がゆく!』
仕事に役立つ漫画、ということでこの1冊。
田中圭一は、今も会社勤務を続ける兼業サラリーマンだ。そんな二足のワラジをはいた彼が、大学卒業後に約10年間勤務していたというタカラ(現・タカラトミー)での実体験をベースにして描いたサラリーマン・ノンフィクション・コメディが『サラリーマン田中K一がゆく!』だ。
実は島耕作よりもビジネス密度は濃い。新商品開発や、特撮番組『電脳警察サイバーコップ』へのスポンサード、リカちゃん対バービー販売戦争といった具体的なエピソードを通して、玩具業界のマーケティングの初歩的な実践知識が分かりやすく解説されている。
それ以外にも、広告の仕組みや営業上のかけひきの極意、ナンパの手法など、新人サラリーマンにとって役立つ知識が意外なほど盛り込まれている。(p166)
ちょっと興味をそそられるマンガですね。
クリエイティブ・サラリーマン『東京トイボックス』
この漫画も、すっごく面白そう!
『東京トイボックス』の舞台は、連日徹夜続きで風呂に入れずオフィスの床で寝るのが当たり前という、社員数が10人程度の秋葉原の弱小ゲーム制作会社「スタジオG3」。(p168)
この超激務の会社を取り仕切るのは天川太陽、32歳。四六時中ゲームのことを感がテイル自称天才で、納得いくまで品質を追求したい職人肌気質。経営センスは当然ゼロ。そこへ大手町のIT総合企業に勤務する28歳の有能なキャリアウーマン、月山星乃が出向してくる。築山は仕事一筋の優等生で、納期を守れない天川の仕事スタイルと真っ向から対立することになる。(p169)
天川の意志は明快だった。「品質・プレス・流通・販売……みんながちょっとずつイヤな思いをする。でもそれでいいじゃねーか。エゴがなくてゲームがつくれるか」。天川は、組織よりもエゴを優先させることに胸を張る。(p172)
夢を追い続ける職人 vs エリートサラリーマンの対立など、見どころ満載な感じがします。読みたい!
サークル化する職場『午前3時の無法地帯』
ほんわかしたイラストの雰囲気と、なんとなくゆるい話の展開。ちょっと癒されそう。
現実的には自分の夢や趣味が仕事と直結している幸せなケースは稀であり、仕事を通した社会的承認を目指しても満たされない人の方が多いだろう。そんなありふれた若者の働く現場をリアルに伝えるのが、ねむようこの『午前3時の無法地帯』だ。(p174)
9ヶ月間のパチンコ専門デザイン会社勤めを経験した作者の実体験をベースに、いわゆるブラック会社を舞台とした仕事と恋が描かれる。『働きマン』や『サプリ』のような大企業の高学歴バリキャリではなく、小さなプロダクションで働く「普通の女の子」が主人公なので、仕事の満足レベルが徹底的にスモールスケールで、バリキャリマンガよりも読者層の間口は広いはずだ。
「編集長になりたい!」とか「人を感動させたい!」とかいう大きな夢は語られないし、「仕事も恋も結婚も子供も全部手に入れたい!」「年収10倍アップさせたい!」といったカツマー的な強迫観念にも駆られない。かといって仕事を諦めているわけでもない。(p175)
マンガのイラストが、なんか、かわいらしくて、いいです。
サラリーマン・バトルロワイアル『100億の男』
ここからは読んだことのあるマンガです。それぞれ解説が面白かったので、ご紹介します。
『100億の男』こそが、バブル崩壊後の「失われた20年」の到来、さらにはサラリーマンという存在の終焉を、他のどんなコンテンツよりも早く象徴的に予見した奇跡的な作品だったという事実を、我々はもっと厳粛に受け止めた方がいい。(p117)
後の2000年代半ばに「勝ち組」「負け組」が流行語になるけれど、このマンガはそれより10年も早くから資本主義社会の自由競争のシビアさに自覚的だった。当初は危機感に乏しい凡庸なサラリーマンだた富沢は、婚約者を失い、友人に裏切られ、久我山天善の会社に取り込まれては追放され、次第に非常はビジネス戦鬼と化していく。(p119)
終身雇用や年功賃金の非知恵、実力主義、拝金主義、グローバリズム、大企業の倒産、会社乗っ取り、企業買収を繰り返す若き起業家、中国ビジネス、銀行の破たん、ベンチャー支援……。1990年代後半から2000年代にかけて表面化するポストバブルの諸問題は、バブル崩壊直後に描かれたこの漫画の中に全て詰め込まれている。(p122)
擬似家族の再生『いいひと。』
『いいひと。』って、結局最後まで読んだっけ・・・。
サラリーマンを支える価値観が根底から崩れた時代に、「働くとはなにか」「会社とはなにか」という本質的なテーマに真正面から取り組んだ、相当ラディカルで骨太な社会派サラリーマン群像劇だ。(p127)
あれ、なんか記憶と違っている気が・・・。
会社とは木であり、会社という木の元にいる全ての人が幸せになるために会社は生まれたのだから、本来の会社とは過剰に上に伸びるのではなく、幹を横に伸ばして葉を茂らせ、養分はお客と社員に還元し、さらに葉を茂らせるべきだ、というのが北野の辿りついた会社観だった。(p130)
『100億の男』が提示したサラリーマン・バトルロワイアル状況を乗り越えるために、北野たちは敢えて会社家族主義へとリセットすることで未来を創ろうとしたわけだ。(p131)
解説を読んでいたら、もう一度読みたくなってきました。かなり。
未完のパッチワーク『働きマン』
有名なマンガなので、説明不要でしょう。
物語が進むにつれて、がむしゃらに働く意味をたびたび見失うようになる。彼女自身、非常に優秀なプロフェッショナルであるがゆえに、その高い問題意識が安易な自己満足を拒むようなところがあるためだろう。
だから彼女はいつも悩んでいる。自分の目の前の仕事を全力でやりながら、それがいったい何の役に立っているのか、どんな将来につながっているのか、自問自答を繰り返す。(p142)
連載再開が待ち遠しいですね。このまま終了にならないといいのですが・・・。
島耕作と、おとぼけ課長と、かりあげクン
では、最後は、少し昔に遡ってみましょう。
仕事優先で家庭をかえりみずにバリバリ働く島耕作と、仕事は出来ずとも家庭で仲良くほのぼの暮らすおとぼけ課長。この2人は終身雇用時代の中間管理職サラリーマン像として表裏一体だったのだ。どちらのほうが幸せなのか、それは誰にもわからない。(p77)
おとぼけ課長もかりあげクンも、上昇志向に囚われずに身の丈で生活を楽しむという香山リカ的な「しがみつかない生き方」の実践者だとしたら、島耕作は勝間和代体な「年収を10倍にする生き方」の実践者と言える。団塊世代の2人が生み出したサラリーマン・キャラクターが、30年近くに渡って合わせ鏡のようにサラリーマンの両面を映し続けてきたいというわけだ。(p79)
当時から今まで、この対照的なサラリーマンの生き方は続いているのかもしれませんね。
私自身の「読みたい漫画リスト」をかねて、漫画を紹介し始めたら、随分なボリュームになってしまいました。
何か気になる作品はありましたか?
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