【アマゾン倉庫の実態】『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』横田増生

書評ノート

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「僕のベゾスに対する第一印象は、童心を持ったビジネスマンというものだ。何回か話をするうちに、既成概念にとらわれず水平思考を持ってビジネスに取り組んでいることもわかってきた」

秘密主義のアマゾンの実態を探るために、著者はアマゾンの倉庫で半年間アルバイトをしました。そんな著者が描いた渾身のルポです。

アマゾンは、いったいどういう会社なのか

今回の記事は、アマゾンの倉庫の事態についてよりも、著者が取材を通して知ったアマゾンについて、ご紹介したいと思います。

アマゾンの倉庫の体験は、人間模様もあって、倉庫の作業行程もわかり、かなり面白いんですが、それは、ぜひ本書をご覧ください。

著者は、訴訟にもなった『ユニクロ帝国の光と影』を書いた方です。アマゾンのルポが話題になったのがきっかけで、ユニクロのルポにつながったのでしょう。

『ユニクロ帝国の光と影』は、以前書評を書きましたので、ご興味ありましたら、そちらも合わせてどうぞ。

参考記事:【問題本】『ユニクロ帝国の光と影』横田増生

なお、今回の書評ですが、抜粋のページ数は、文庫ではなくハードカバーの「アマゾンの光と影」を読んだので、そちらのページ数です。

アマゾンのビジネスモデルとは

アマゾンをジェフ・ベゾスが思いつき、どこに重点を置いて進めてきたのか。

ベゾスのなかで、不特定多数を対象としたマスマーケティングが本においてはほとんど効果を発揮せず、特定少数をターゲットとしたワン・ツー・ワンマーケティングこそが有効である、それにはインターネットを使うのが一番だという判断が働いた。インターネットと本を組み合わせたことこそ、ベゾスの活眼だったのだ。

さらにネット上の「小さな書店」と、実際の大型リアル書店とを区別するためにベソズが力を入れたのは、同じ趣味を持つコミュニティを作ることと、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライゼーションを進めることだった。(p70)

パーソナライゼーションとは。コミュニティー重視、とかあるんですね。どの辺の機能のことを指しているんだろうなぁ。

「まず個人の趣味趣向に合わせたパーソナライゼーション。そして二番目が同じ趣味を持つ人同士に対するコミュニティー重視です。

私たちはウェブサイトを個人専用にすることで、興味を持っている本、音楽CD、DVDといった製品を利用者が、見つけやすくするのと同時に、製品側からも潜在的な顧客を見つけやすくしています。

一方、コミュニティーとは、顧客が、他の顧客が購買決定をする際に手助けすることを指します。例えば、顧客レビュー(著者注・カスタマーレビューを指す)とは、隣人が隣人の購買決定に手を貸すということです」(p85)

カスタマーレビューの経済価値を具体的に言及していて、面白いです。膨大なデータがあればこその結果ですね。

カスタマーレビューがおもしろいのは、顧客の役に立つだけでなく、アマゾンの売上げを押し上げるという働きもすることだ。アマゾン本社の調査によると、商品にカスタマーレビューがつけば、その商品の売上げが「約一万円」増えることにつながるという結果が出ているという。それもCDより、本の方がその影響力が大きいのだ。(p88)

アマゾンという会社の仕組み

アマゾンのビジネスモデルって、やっぱりスゴイですよね。

「アマゾンは、日本進出後に倒産説が流れるほど危ない時期もあったけど、今では見事に復活して株価も安定してきただろう。それを見て、やっぱりベソズは確固たるビジネスモデルを持っていたんだなあと思った。浮き沈みの激しいeビジネスの世界で、10年も最先端を走ってきたベソズは尊敬に値する人物だよ。」(p40)

そして、その反面、こんな声もあります。

「アマゾンは正社員の定着率もよくないですからね。とくにできる人ほど独立したり、ほかの会社に移っていきます。それを見ると、つくづくアマゾンは人よりシステムでもっている会社なんだなあと思います」(p78)

最後にご紹介するのは、アマゾンに存在する階層社会について。

私はセンターで働いている間、その最も上位に位置づけられるのがアマゾンジャパンの社員だと思っていた。

しかし、広報の女性とのやりとりのなかで何度となく出た「私たちではお話できないんです」という何かに怯えたような声を聞きながら、彼らにもほとんど権限というものが与えられていないことをあらためて痛感した。たとえばアマゾンジャパンが勝手に日本の売上げを公表すれば、誰かの首が飛ぶのだろう。

階層化社会は、働く人間を”エリート”と”非エリート”にわけていく。そこでは考えることは”エリート”の仕事であり、手足となって働くのは”非エリート”の仕事だ。

そして、その峻別は際限なく繰り返される。常に競争を強いられる現代ではエリートであろうと安穏とはしていられない。エリート集団のなかにもさらなる階層化が待ち受けているからだ。(p281)

外資系って、アマゾンに限らず、大体こういう感じな気がしないでもないですけどね。

外資系の流儀』という本に載っていましたが、「○○ジャパン」となっている会社は、ローカライズが進んでおらず、本社権限が強い中央集権型の会社らしいです。そして、日本のアマゾンは、アマゾンジャパン。

書評のまとめと感想

本書の魅力は、倉庫内での作業風景だったり、アルバイトの中での階級だったり、一緒に働いている人の人間模様だったり、そういうアマゾンの実態についてです。

ですが、今回の書評は、本来の魅力とは、別の観点からの紹介になっています。ぜひ、ルポの魅力は、本書でお確かめください。

次に読みたい関連書籍 & オススメ本

まずは、著者の話題作?問題作?のこちら。結構おもしろいです。

アマゾン関連だと、さらっと読めてわかりやすいのが、「ワンクリック」。

アマゾンについては、興味津々なので、読んでいて飽きません。他にも、いくつか面白い本が色々あるのですが、またの機会にしましょう。

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