【法人を設立して節税!】『貧乏はお金持ち』橘玲
「格差社会」でもっとも得をしたのか誰か?IT長者やヒルズ族の名が筆頭に挙がるのだろうが、彼らはもともと数が限られているし、この数年で見る影もなく落ちぶれたひとも少なくない。低成長で全体のパイが縮小している以上、みんなが損をしたという見方ももちろんできるが、その中であえて挙げるとすれば、いちばん得をした社会階層が終身雇用で守られた公務員や大企業の従業員だろう。
――『得をしたのは誰か』
サラリーマンでも、絶対に知っておいた方がいい知識です!
サラリーマンは、意外と損をしている。
自営業者、自分で会社を持っている人は、収入以上に、羽振りがよいですよね。経費として使えたり、税金上のメリットがあったり。
そこで、個人として、マイクロ法人を設立するメリットと具体的な実例を紹介しているのが、本書『貧乏はお金持ち』です。
サザエさん一家を例にして、会計上の動きや節税のインパクトについて説明しているのが、わかりやすくて勉強になります。
財務会計の勉強にもなります!
▼目次・要約や著者情報は、楽天のページをご覧ください
貧乏はお金持ち
会社をつくるって?
本書の主旨は、この一段落に集約されています。
会社をつくることによって、個人とは異なるもうひとつの人格(法人格)が手に入る。そうすると、不思議なことが次々と起きるようになる。詳しくは本編を読んでほしいのだが、まず収入に対する税負担率が大幅に低くなる。さらには、まとまった資金を無税で運用できるようになる。そのうえもっと驚くことに、多額のお金をただ同然の利息で、それも無担保で借りることができる。(p13)
結論からいうと、サラリーマンで実践するのはなかなか厳しそうなんですが、ためになります。いくつかポイントをピックアップしてみますね。
個人企業家にとって、会計上の理想状態
- マイクロ法人と個人(家計)で税務上の所得がない。
- マイクロ法人もしくは個人(家計)で税務上の利益が計上できる。
税務上のメリットをうまく享受できる、のがポイントですね。節税につながります。
サラリーマンからサラリーマン法人に移行するメリット
- 隠れていた人件費を顕在化することで収入が増える
- 厚生年金・組合健保(政府管掌健保)から脱退し、国民年金・国民健康保険に移ることができる
- 法人を利用した節税やファイナンスで家計を効率化できる
サラリーマン法人っていうのが、実際は結構ハードル高そうです。自分たちだけではなく、会社側の問題もあります。
会社が個人に給与を払うのではなく、マイクロ法人に業務委託費を支払う、という形になります。
サラリーマン法人の節税術
- 法人で生活経費を損金とし、個人で給与所得控除を受けることで、経費を二重に控除する。
- 家族を役員や従業員にして、役員報酬や給与を法人の損金にしつつ給与所得控除を得る。
- 自営業者や中小企業向けに日本国が用意した優遇税制を活用する。
橘さんの著書『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』に詳細は載っているようです。
たしかに普通にサラリーマンをしているのが、一番税負担が大きいですよね。
書評のまとめ・感想
個人と法人は、ここまで違うのか、とあらためて実感させられる本です。
また、財務諸表の見方や、会計上と税務上の利益の違い、キャッシュフローの考え方なども勉強になります。
なかなか面白い1冊でした。
次に読みたい関連書籍 & オススメ書籍
本書で紹介されていた本をピックアップしておきます。
ちょっと興味深い本が多かったです。今度読んでみようと思います。
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