NHKラジオ『英語で読む村上春樹』を買ってきた!気になる内容は・・・かなり面白そうなテキスト!
本屋に立ち寄ったら、目立つ場所にNHKテレビ・ラジオ語学講座のコーナーができているじゃありませんか。さすが新年度号。
「入門ビジネス英語」「英会話タイムトライアル」を買うついでに、気になってた「英語で読む村上春樹」のテキストを立ち読みしたわけですよね。
ついつい購入しちゃいました。ウチに帰って、じっくり読んでみたら、「英語で読む村上春樹」は、かなり面白そうです。村上春樹ファンな私には、ツボでした。
「英語で読む村上春樹」テキストの内容と構成
「英語で読む村上春樹」のテキストを見ながら、テキストの構成をご紹介しますね!かなり独特な英語講座になりそうな予感がします。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が発売になりますし、今年は村上春樹が盛り沢山。
そもそも「英語で読む村上春樹」の講座とは?
この講座は、村上春樹の短編小説を題材にして、朗読&英文読解を行います。
1年間のうち、前半の6ヶ月が「象の消滅」、後半の6ヶ月が「かえるくん、東京を救う」が、題材です。
第1週~第3週が本編。第4週は「ハルキをめぐる読みの冒険」
4月号のテキストを読んでみると、第1週~第3週は、英訳+原文が掲載されていて、第4週は、「村上文学へのアプローチ」というタイトルで、村上春樹についての解説になっています。
第4週は、英語の勉強とは、直接関係なさそうな内容ですね。でも、村上春樹ファンには面白い内容です。
本編1回分の構成が丁寧
私がテキストを読んでいて関心したのが、本編のページの作り方が丁寧なことです。
1回分の流れは以下のようになっています。
- 英訳全文
- 原文(日本語訳)全文
- レクチャー(解説)
- 1段落目の英訳
- 単語・フレーズ一覧(words & phrases)
- 1段落目の原文
- 文法解説・英文と原文比較(comparison & focus)
- 2段落目~4段落目まで繰り返し
英訳・原文のあとに、各段落ごとに、英訳・原文・単語が載っているのが、親切でわかりやすい構成になっています。勉強しやすそう。
解説がマニアックで面白い
1回目の解説だけ読みましたが、これが、面白かった。
- タイトルの「The Elephant Vanishes」の「elephant」がなぜ単数なのか。
- 本文でも「the elephant」となっているが、なぜ「the」が必要なのか
すごく単純そうな話に見えますよね?でも、面白いのは、ここからです。
『羊をめぐる冒険』においては、「羊」が特定の1頭なのか、複数なのか解釈が分かれ、ロシア語訳のタイトルでは羊が複数、ポーランド語訳では羊が単数になっているそうです。
日本語で普通に読んでいるだけではわからない、翻訳での表現の難しさについて述べられているのが、興味深い。
「古池や蛙飛び込む水の音」の「蛙」についても、解釈が分かれているそうです。なるほど。
もうひとつ触れておきましょう。
- 村上春樹といえば、一人称の「僕」、という表現が繰り返し出てくるのが特徴的。
- でも、英訳では、代名詞「I」を使うのが当たり前なので、特徴にはならない。
たしかに・・・ってなりますよね。
英文と原文の比較もマニアック
さらにマニアックな内容は続きます。それは、「comparison & focus」のページ。
放送1回目の1段落の部分を見てみましょう。
- turned on the radio:原文では「FM放送のスイッチを入れ」とある
- kitchen table:原文ではただ「テーブル」とあり、どこのテーブルか特定していない
原文を英訳した際に、どういう表現が変わったのかを比較して解説しています。
いい。すごくマニアックでいい。英語学習に役立つかどうかは別にして。
「英語で読む村上春樹」の想定リスナーは誰なのか?
他のNHKラジオ英語講座は、明日使えるような実践的な英語学習が中心です。
NHK英語番組には、難易度の目安として、「A0」~「C2」が設定されています。(レベルの解説は「CEFRとは?」に載っています)
「英語で読む村上春樹」は、他の講座とは、一線を画す講座。レベル設定がありません。すごく納得。いい意味で、趣味に近いです。
誰向けの放送なのか想像してみると、
- 翻訳に興味がある人
- 村上春樹に興味がある人
- 英語で小説を読んでみたい人
- 読解力を身に付けたい人
といったところでしょうか。解説のマニアックさが楽しめる人には、相当ハマる講座な気がします。
すごく英語が好きな人や、すごく村上春樹が好きな人にはピッタリ。
テキスト後半は、「対談」と、なぜか「創作短篇」
テキスト後半は、ラジオの放送には流れない、テキスト独自の内容です。
なぜか、若手作家が書いた村上春樹風な創作短編が載っています。
いよいよ意味がわからない。2chの「村上春樹的就職活動」を思い出さずにはいられません。ディープですね。
対談は、普通に面白いです。4月分は、海外から見た村上春樹について4人で対談しています。英語学習には関係ないですが、村上春樹ファンには楽しい内容です。
村上春樹:英語=7:3。村上春樹ファンなら、楽しめるはず。
テキスト全体を通して、村上春樹が大好きな先生が、村上春樹の解説をしつつ、英文の解説もしているようなテキストです。
英語の難易度は、少し高いかもしれませんが、村上春樹ファンなら、楽しめる講座だと思います。
新しい村上春樹の魅力が発見できそうですよね。楽しみ。
放送開始が待ち遠しいですね!
テキストだけでも、だいぶ楽しめそうですが、本放送に期待してます。どんな放送になるのかなぁ。放送を聴いたら、またブログで書きますね。
放送時間は、毎週日曜日午後10:50~11:20です。たっぷり30分。英語の勉強というよりは、ほぼ趣味で楽しんでいきたいと思います。
原作の続きが気になっちゃった人には。
ちなみに、「象の消滅」と「かえるくん、東京を救う」の原作は、こちらの本に収録されています。
テキストに原文が掲載されているので、特に原作を購入する必要はないです。どうしても先が気になる!って方だけに。
むしろ、「続きが気になる」⇒「来月号を楽しみにする」⇒「勉強を頑張れる」っていうサイクルに持っていければ、勉強がはかどりそうですね!私も、すでに、続きの来月号が読みたくなっています。
『英語で読む村上春樹』の記事一覧は、こちらからどうぞ!
⇒ 過去記事一覧・まとめ
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