第6回『英語で読む村上春樹』の放送:原文には存在しない文章や感嘆符の挿入について
ストーリーとしては、ついに「象が消滅」した場面が登場します。消滅したときの状況はどうだったのか、今回は、推理小説のような描写が展開されていきます。
原文のストーリーも気になりますが、英訳では、また別の視点でおもしろい解説が登場します。
英訳とは、原文を英語にすることではない。
英語の文章として自然な流れとするためには、原文を単純に訳すだけでは不十分。そこが翻訳者の腕の見せ所。
そんな奥深い話が、第6回の放送では、解説されています。
毎回、ちょっとずつテーマが違っていて、楽しい解説ですね。
第6回で面白かった解説:日本語と英語の「呼吸」
ということで、毎回恒例の解説のピックアップをしてみました。
今回おもしろかった「原文にはない英語」の部分は長めにご紹介しています。
「コーヒーを飲む」
- 原文「コーヒーを飲みながら」
- 英訳「I poured … coffee(コーヒーをつぎ)」
- 原文を直訳すると「drink」だが、「pour」の方がスッキリする
- 「コーヒーをカップに注いだ」という具体的な動作が出てくるので、イメージがより鮮やかになる。
- 100%意味を対応させるというよりも、その状況をより鮮やかに浮かび上がらせるために、少し違う言葉を使うことがある
原文にはない1文(おもしろい!)
- 「…The elephant vanished.」の次に「One day it was there, and the next it had ceased to be.」
- 日本語には、存在していない文章
- 原文にないものを英訳で付け加えた
- そのことで、英語としての意味がつながる
- 「the elephant vanished」だけでは、単純に言っているだけで、「消え失せた」ということの異様さが、強調が弱い
- 象が消えたっていうのがちょっと異常な事態だということを、ここではっきり言って、それから次の文章へ展開している
- フランス語、ドイツ語、ロシア語では、こんな翻訳をしていない
- 翻訳者の工夫がある
「!」の挿入
- 日本語には「!」がない箇所で、「!」が使われている
- 日本と英語では、補助記号の使い方がちょっと違う
- 感嘆符、疑問符はヨーロッパから日本にはいってきたもの
- 必ずしも一対一対応するとは限らない
- 日本語と英語の文章の流れ、構文が違う
- 呼吸のようなものがある
いかがでしたでしょうか。日本語の文章の流れと、英語の文章の流れは異なっているため、色々工夫が必要なようです。
翻訳って、難易度高すぎますよね。奥が深いなぁ。
村上春樹の英文的な日本語文章
日本語の小説において、強調する箇所には、「点」を打ちますよね。ルビのスペースに。
英訳するときは、「点」の強調をイタリック(斜字)として表現します。
加えて、村上春樹の特徴といえば、「――」の使い方ですよね。
大沼先生は、この「点」と「――」について、以下のように解説しています。
村上春樹的な文体の特徴のひとつ。
ひょっとしたら、もともと英語の翻訳に表れる手法を村上春樹が自分の小説を書く際に意識的に使っているのかもしれない。
村上春樹の小説には、よく棒と点が出てくる。それが英語に訳されるとき、今度はイタリックになる。
なかなか興味深い話ですよね。
「象」はなぜ消滅したのでしょう。そして、次回は、どんな解説が待っているのでしょうか。楽しみですね!
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