【起業の裏側】『成金』堀江貴文

書評ノート

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「私にはこう聞こえるのですよ」もう一方の手を胸に押しつけた。「稼げ、奪え、儲けまくれ、と。ウォール街はこの振動に呼応して、世界中の富をかき集めているのですよ」鮫島は悪魔のような笑を浮かべた。
―『アバター』

「騙し騙され」「奪い奪われ」。綺麗事だけじゃないベンチャーの世界を描き出した作品です。

表には出てこないベンチャーの物語

『拝金』の続編です。時系列としては、さらに昔の物語。『拝金』で登場した「オッサン」が今回の主人公です。

前作と同様、私たちが普段目にすることがない世界を描いています。

本作品は、自伝的小説ではないので、なんというか、より「物語」的な展開になっています。とはいえ、あとがきで以下のような文章があるので、ある意味「リアル」なのでしょう。

本作は前作同様、僕の実体験に根ざしている。でも、出てくる内容は真実ではない。だからといって嘘だと言うつもりもない。ここには事実の先にある真実が描かれているからだ。

ITを武器に成金を夢見た人たちの、表立っては口にできない赤裸々な本音――。それをどう受け取るかはみなさん次第です。(p244)

▼本の目次や要約は、アマゾンのページをご覧ください。
成金

あなたは、修羅場をくぐり抜けられるのか?

今回は、面白かったところを簡単にピックアップしていきたいと思います。

価値のある人間とは。私は、どちらにも該当しませんが・・・。

「金で動かされる人間はダメだ。価値のあるのは、ま、使える人間って言い換えていいけど、金でしか動かない本当のプロフェッショナルか金では動かない最高のアマチュアなんだよ」(p25)

「目には目を歯には歯を」の『同態復讐法』について。

「自分が相手の奴隷でないなら、目を潰されたときは相手の目を潰して、奴隷でないことを証明しなくちゃいけない。わかるか。潰さないかぎり、それは奴隷と一緒なんだ」(p106)

本作品のなかで、記憶に残ったのが、この「水溜りのおたまなくし」の話。作中に、何回か登場します。

「僕は小学校のとき校庭の水溜りばかり見て過ごした。梅雨時、そこにおたまじゃくしが泳ぎ出すんだよ。でもね、水溜りが干上がる前にカエルにならないと彼らは死んでしまう。そこを抜け出して別の世界に行かなければ息絶えるんだ。それがまるで自分のことのように思えてきてさ。(p113)

いわゆる「インテリジェンス」について。

「高度に発達したIT社会では、秘密や機密などあってないに等しい。だからこそだよ、徹底的にこちらが注意を払っている、それもまた相手にメッセージとして伝わる。いいか、堀井くん」

「結局、どんなに厳重に守っても情報は奪われるものなんだ。だが、厳重を期せば、相手は情報略取の代償として『時間』を失う」

「そしてな、私らの仕事はその時間が何より貴重なんだ。情報それ自体を守るのではなく、相手により多くの時間を消費させる。それが情報戦で勝つコツだよ。きみなら、よくわかるだろう」(p140)

優しい善人には、修羅場をくぐり抜けられないですよね。綺麗事だけじゃ難しいこともありそうです。

「成金の性は、悪だよ。 (中略) 2人はいまでこそ善人のふりをしているが、素顔は悪人なのだ。悪だからこそ、何度も何度も修羅場をくぐり抜け、強者になれたのだ」(p156)

悪は、実績なのだ。悪は、知恵なのだ。悪は、経験なのだ。修羅場をかいくぐり、生き残ったものだけが得られる強さを、悪、というのだ。いまの自分は修羅場こそ経験したが、まだくぐり抜けたわけではなかった。(p158)

世間でよく言われる「若さが武器」っていうの、私もちょっと違和感がありました。

「このメッセージを受信できないやつは信用できない、そういう選別をsるためにこのメッセージは発せられている――。きみは間違ったのだよ、私の問いに」(p162)

若さは武器ではない、弱点なのだよ」(p163)

どうでもいい話ですが、「優秀な25歳より、近所の80歳の人の話の方が、人生のタメになる」と私は思っているんですよね。『亀の甲より年の功』って言葉が好きなんです。お年寄りは大切に。

書評のまとめ・感想

『拝金』とセットで、『成金』を読みました。

両書とも、あえてコンパクトな内容にしているらしいので、2冊合わせても、すぐに読み終わります。

起業の物語としても、十分に面白い内容だったと思います。その上で、直面する問題が生々しく描かれていて、一気に読んじゃいました。

臨場感のあるビジネス小説は、いいですよね。伝えたいメッセージも盛り込まれていて、ビジネス書として、アリだなぁと。

せっかくなら『拝金』『成金』、両方読んだほうが面白いと思います!

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