村上春樹的マーケティング活動 ~『1Q84』と『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に関する戯言~

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4月12日に、いよいよ村上春樹の新刊『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が発売されますね!

と、最近の盛り上がりを見ていて、「あれ?なんかデジャブ?」

そう、『1Q84』です。

当時、『1Q84』の売り方を見ていて、「うまいなぁ」って思ったんですよね。マーケティング的なアレです。

新刊に想いを馳せつつ、ちょっとだけ昔を振り返ってみたいと思います。なぜ、デジャブなのでしょうか?

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

今回は、そんな妄想120%なお話です。

約束されたベストセラーへの道

今回の話は、全て個人的な見解であり、概ね間違っている妄想だと思いますので、ご了承ください。

そんなこと言い始めたら、このブログ自体すべて幻ですが・・・。プロのみなさん、解説をお願いします。。。

では、『1Q84』を振り返りつつ、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を見ていきたいと思います。

ベストセラーになる小説の条件

1Q84』が盛り上がっていた当時、売り方を見ていて、「本が売れるには、何が必要なんだろう」ということを考えていました。

結局、すごく簡単な結論に落ち着きました。

ようするに、「たくさんの人が読むこと」です。当たり前です。うん。

村上春樹を例に、ちょっと説明してみますね。

購買層を、以下の4つのに分けてみます。

  1. 「村上春樹」というだけで買う(私とか)
  2. 小説を読むのが好きな人
  3. 小説は読まないけど、本を読む人
  4. 普段、ほとんど読書する習慣がない人

村上春樹のブランド力なら、1~3の層までは、リーチできると思います。

ポイントは、4の「普段、本を読まない人」。この層が、購入し始めると、ベストセラーに近づくのではないでしょうか。

今、私がぱっと思い出したのは、「チームバチスタの栄光」や「ダ・ヴィンチ・コード」。

普段、全く本を読まない友達数人が、わざわざ買ってまでして読んでいる。で、実際、相当数売れていた。

「じゃ、4の人に頑張って売ればいいじゃん」、って話になりますよね。

でも、難しいんです。だって、普段、本屋に行かない人や、本屋に行っても、小説コーナーに全く立ち寄らない人。そういう人たちが対象です。

小説の宣伝を一生懸命しても、ほとんど届きません。そもそも、視界に入ってきません。

たとえば、私は野球・サッカーに全く興味が無いので、本屋に行っても、どこにスポーツの書籍が置かれているのか知りませんし、スポーツで話題の本が出ても、意識する機会がありません。

むずかしい。

じゃ、どうするのでしょうか。

『1Q84』のティザーっぽい展開の話

「色彩を持たない~」は、発売前に小説の内容を一切明かしていませんね。ちょろっと、サイトに文章が載っているだけ。

これは、『1Q84』のときに、同様のことをやって、結構話題になりました。テレビで取り上げられるくらい。

マーケティングの教科書的にいえば、「ティザー広告」に近い手法ですね。ウェブサイトなら、「ティザーサイト」。

これを書籍でやったのが、面白かったんですよね。

ティザーは、tease(じらす)が由来です。ティザー広告とは、ようするに、全貌を明かさずに、「え?なにこれ?」って興味を引かせる広告展開のことです。

みなさんの周りにも意外と、ティザー広告・サイトは多いです。

最近だと、スクエニのFFでありましたね。シルエットだけ見せて、どんなソフトが発売するか明かさないティザーサイトを作ってました。

あと、Appleのイベントの招待状も、ある意味ティザーですよね。

で、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のサイトも、現段階ではティザーサイトっぽい作りになっています。

http://hon.bunshun.jp/sp/tsukuru

ティザーをやって、ちゃんと話題になるには、条件があります。

簡単です。「有名なこと」です。インパクトがないと意味がありません。中途半端な知名度だと、効果ないです。

小説の世界に目を向けますと、ティザー広告が成立する作家って、どれくらいいるのでしょうか?

村上春樹だからこそできる手法ですよね。

ティザー広告は、発売日まで、発売日当日を盛り上げることがひとつの目的です。

「色彩を持たない~」も、どんな内容なのか考察・予想しているブログがアップされたり、発売日前でも、盛り上がっていますよね?

これが、まず一歩目。今後の大きな伏線になります。

メディアへの露出

ところで、「チームバチスタの栄光」や「ダ・ビンチ・コード」が話題になったのはなぜでしょうか。

私は、テレビの力が大きかったと思っています。本を読まない人たちにリーチするには、やはり今でもテレビの力が強いのではないでしょうか。

で、その視点で『1Q84』に話を戻しますと、

『1Q84』は、発売日前に、小説の内容を一切明かさないことで話題になりました。

その結果、どうなったでしょうか?

アマゾンで、発売日10日前に予約部数が1万部突破。国内長編小説で過去最多記録を達成。

で、このことが、大きくメディアに取り上げられるんですね。NHKすらニュースで流すくらい。かなり異例の反響だったわけです。

これで、普段本を読まない層に、話題が届けられました。購入する人が増えます。

そして、発売日以降。次は、「○○万部販売!」が記事になる。で、そのニュースを見た人が、さらに買う。

NHKのクローズアップ現代でも特集が組まれていました。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_2767.html

はい、ベストセラーの完成です。

村上春樹の凄いところは、小説のみで、これができちゃったことですよね。普通、小説は、ドラマ化・映画化で話題になってから、販売部数が伸びることが多いですもんね。

『1Q84』発売前にあった大きな出来事

あと、ひとつ補足しておきましょう。

『1Q84』発売よりも少し前に、村上春樹が、頻繁にテレビに取り上げられるタイミングがありました。

覚えていますか?

エルサレム賞授賞式での村上春樹のスピーチです。「壁と卵」。

Between a high solid wall and a small egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg. Yes, no matter how right the wall may be, how wrong the egg, I will be standing with the egg.

もし、硬くて高い壁と、そこに叩きつけられている卵があったなら、私は常に卵の側に立つ。そう、いかに壁が正しく卵が間違っていたとしても、私は卵の側に立ちます。

こういう話題、メディアは好きですよね。

クローズアップ現代で、『1Q84』とセットで語られたテーマです。

エルサレム受賞式が2009年2月15日、『1Q84』発売が2009年5月30日。これ、たまたまなんでしょうか?

戦略か?偶然か?

ということで、『1Q84』の動きをまとめますと、

  1. 小説の内容を明かさない「ティザー」的な展開
  2. 話題になる
  3. アマゾンで発売日前に予約だけで1万部突破。
  4. 話題になる
  5. 発売後、200万部突破
  6. 話題になる(クローズアップ現代とか)
  7. さらに売れる

となります。話題⇒購買⇒話題⇒購買⇒話題⇒購買、と3回は繰り返しているのがわかります。

ちなみに、アマゾンの予約部数記録は、『1Q84』が記録更新する前は、村上春樹の『アフターダーク』だったそうです。

『アフターダーク』の流れを見て、さらに発売前に話題を集める意図で選んだ手法が、『1Q84』のティザーっぽい展開だったのかもしれません。

こうやって一連の流れをみると、非常によく練られた戦略だな、と当時思っていました。

で、『1Q84』の発売前のタイミングで、エルサレム受賞式のスピーチ。

どこまでが意図的な戦略で、どこまでが偶然だったのでしょうか?

なんにせよ、一連の騒動を見ていて、当時は、相当おもしろかったわけです。

それで、「色彩を持たない~」は?

先日、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が、アマゾン史上最速のペースで予約開始から一万部突破、というニュースがありましたね。

ということは、

  1. 小説の内容を明かさない「ティザー」的な展開
  2. 話題になる
  3. アマゾンで発売日前に予約だけで1万部突破。
  4. 話題になる

ここまでは、同じ流れになっていることがわかりますね。

で、NHKラジオ英語講座では、「英語で読む村上春樹」が放送開始になりました。あとは、京都で公開インタビューが予定されていますね。

ほかにも、何か最近村上春樹で話題になったことってありました?ご存知でしたら、ぜひ教えてください。

『1Q84』のときほど話題にはなっていないようですが、なーんか流れが似てますよね。出版社は違うのに。

はたして、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の展開は、今後どうなっていくのでしょうか?

作品そのものだけではなく、こういう背景を妄想すると、ちょっと楽しいですよね。合っているかどうかは別としても。

本作の次の長編作品も、同じ展開をするのでしょうか?順番的には、講談社?新潮社?

では、今後の展開を楽しみ待つとしましょう!

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