【自伝】『ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢』ポール・アレン

書評ノート

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「もしも起業したらどうなるか」を空想したのだ。一度、ビルに「何もかもうまくいったとしたら、僕たちの会社はどのくらい大きくなるかな」と訊いたことがある。
するとビルはこう答えた。「そうだな。まあ、プログラマを35人くらい雇えるようになると思うよ」それは途方もない話のように私には聞こえた。――『チャンス』p10

マイクロソフト共同創業者ポール・アレンの自伝

マイクロソフト=ビル・ゲイツと思いがちですが、マイクロソフトはポール・アレンと共同で創業しました。意外と知らない人が多いですよね。

IQ160といわれるポール・アレン。マイクロソフト創業の話、そしてその後の半生を綴った自伝です。

ぼくとビル・ゲイツとマイクロソフト アイデア・マンの軌跡と夢

パソコンやWindows誕生の歴史、当時の状況が、細かく書かれていて、非常に読み応えがあります。勉強にもなります。

スティーブ・ジョブズの自伝と一緒に読むと、時代がリンクしており、それぞれの立場から時代を見ることができて、面白いですよ。

原題は『Idea Man: A Memoir by the Cofounder of Microsoft』。ちょっと日本語のタイトルに違和感がありますが、アイデアマンとしての半生をぜひ、ご覧ください。

前半が、マイクロソフト創業までの話。後半は、マイクロソフト株で億万長者になったポール・アレンが、次々とお金を使っていく話です。ページ数もちょうど半々。面白いのは、やっぱり前半ですね。

ポール・アレンと両親

幼少期について

母は私にこう言うのだった。「さあ、行きなさい。自分の身は自分で守るのよ!」その言葉を聞いて、外へ出る時には、少し背筋が伸びたものだ。(p28)

思い返してみると、子供の頃の私は、驚くほど科学に触れる機会に恵まれていたと気づく。(p34)

無骨なお父さんの教えが印象的でした。

他人には敬意をもって接すること、自分の言葉に責任を持つことを求めていた。(p29)

父は私がまだ幼いうちに、「将来、何になりたいか」を尋ねてきた。そして、自分が身につけた人生の知恵を授けようとした。父の人生の知恵は、「好きなことを仕事にしろ。どんなことを仕事にしても、それを好きになれ」といういたって簡潔なものだ。(p32)

私は父のアドバイスを決して忘れたことがない。「何をするにしろ、自分のすることは好きになったほうがいい」というアドバイスだ。(p264)

父は最後に、こんなことを言った。「自分の周りの人を大切にしろよ。そうすれば、皆、お前を大切にしてくれる」そう言って、また父はいつもどおり無口になり、それ以上、何も話さなかった。(p267)

ポール・アレンの幼少期を見ていると、アマゾンCEOのジェフ・ベゾスと似た印象を受けます。

ビル・ゲイツとの関係

年上だったポール・アレンがビル・ゲイツと出会ったときの印象があります。

この少年、ビル・ゲイツに関しては、すぐに三つのことがわかった。まず、非常に頭が切れるということ。非常に負けず嫌いであるということ。自分がいかに頭がいいかを証明したくてしょうがないのだ。そして、もう一つ、彼が非常に粘り強い、ということも間違いなかった。(p55)

ポール・アレンとビル・ゲイツの関係性について。

これが私たちのいつものやり方だった。私はアイデアマンだ。実現性はひとまず無視して何かを思いつく。ビルは私の話を聴いて、難点を指摘する。そして、とくにいいアイデアだけを選んで、実現のために動く。こういう具合なので、二人の協力関係には常に一定以上の緊張感があったが、そのおかげで物事が前に進んだ。総じてうまくいっていたといえるだろう。(p13)

私が目についたものすべてに興味を示し、何でも知りたがるのに対し、ビルは決して一度に二つ以上のことは取り組まず、必ず一つのことに全力を傾けた。(p56)

当時のビル・ゲイツの仕事ぶり。

深夜の作業中にビルが端末の前でうたた寝しているのもよく見た。コードを打ち込んでいる最中に、徐々に身体が前方に傾いていき、ついには、鼻がキーボードにあたってしまう。そのまま一、二時間眠ったあと目を覚まし、薄めでスクリーンを見て二度ほどまばたきをすると、すぐに何事もなかったように作業を続行する。本当に信じがたいほどの集中力である。(p122)

 

退職するときのメッセージ

ビル・ゲイツとの確執が徐々に表面化してきて、最後に、ポール・アレンはマイクロソフトを去る決断をします。ちょっと長いですが、そのときビル・ゲイツに宛てたメッセージです。

とてもつらいことだが、ふた月ほど前、僕は一つの結論に達した。そろそろ僕は、マイクロソフトを去るべきなのだろう、という結論だ。君が出張続きでずっといなかった間にスティーブに相談したんだが、彼は一度、君と直接話してみて、それから考えたら、と言ってくれた……。

君もわかっていると思うが、僕がこんなことを考えたのには一つ大きな理由があるんだ。僕は、もう、君と言い争うのに耐えられないんだよ……ちょっと難しい問題について話そうとするたびに、必ずといっていいほど君は、とんでもなく激しい言葉を僕にぶつけてくる……。

君は言葉で攻撃するんだ。その攻撃のせいで、これまでに僕一人だけで何百時間もの貴重な時間が無駄になった……何年もそういうことが続くうちに、僕たちの友情は少しずつ壊れていったし、ともに仕事をするのも難しくなってきた……最初のうちは仲間意識でやっていたけれど、そんなものはもう、とうの昔になくなってしまった。

スティーブ・ジョブズの自伝と一緒に読もう!

では、最後に、こんな引用で終わりたいと思います。

私は試しにこんなコマンドを入力してみた。

PRINT 2+2

すると、マシンは即座にこんな返答をした。

4

最高の瞬間だった。(p132)

パソコン・Windowsの誕生とともに生きたポール・アレン。彼なくしては、いまのITの姿はなかったことでしょう。ポール・アレンの歴史こそが、パソコンの歴史、Windowsの歴史と重なっていきます。

合わせて、スティーブ・ジョブズの自伝と一緒に読むと、面白いです。

パソコン黎明期に思いを馳せてみませんか?やっぱり、創業の話はおもしろいですよね。

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