【自伝的小説】『拝金』堀江貴文

書評ノート

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「そうだ、欲だよ。欲望が金の価値を定める。そしてそれは人によってケース・バイ・ケースなんだ。本来、金はその欲望を満たすための手段でしかないんだよ」金持ちとは何か――。欲しいものがたくさんあり過ぎるから、とりあえず金を稼いだ人のことだ。
――『起業』

堀江貴文さんの自伝的な小説『拝金』。起業から廃業まで、表では語られなかった実態を描いています。

「ホリエモン」という時代

一連のライブドアの出来事を思い出させる小説です。

フィクションでありながら、当時の雰囲気を伝えようとしているのでしょう。堀江さんだからこそ書ける小説、という意味で、面白かったです。

別の本に書いていましたが、『拝金』はあえて内容を絞って、短時間で吸収できるようにしているそうです。

▼本の目次や要約は、アマゾンのページをご覧ください。
拝金

登場人物を通して、堀江さんが伝えたいことは何なのか。それを意識して読むと、ただの小説ではない、別の側面が見えてきます。

「金持ちになる」とはどういうことか。

『拝金』のストーリー全般で語られているのは、「お金とは」「お金持ちとは」「お金を稼ぐとは」といったことです。

「金持ちになるっていうのは、キャッシュをどれだけ動かせるか。そして、キャッシュを動かすには、会社を経営するのが一番ってことだ」(p63)

キャッシュを動かすなら、株とかじゃダメなの?という問いに対しては、一蹴しています。

「株の世界は、年10億円稼ぐような世界中のプロが、何十億、何百億という資金をつぎ込んでしのぎを削っている。そこに素人のおまえが入って、どうなるものでもない。 (中略) 勘違いしている人もいるが、百戦錬磨の投資のプロと同じ土俵に立とうとするなんてバカげた発想だよ」(p64)

起業は、むずかしくない

堀江さんから見れば、起業ってそんなに敷居が高いものではないよ、ってことが伝えたいんでしょうね。

私みたいに会社勤めの人には、起業って難しく思えるんですけど、実際に一度起業した経験のある人にとっては、また違った見方を持っているんでしょう。

「ビジネスにビビリすぎだ。いいか、誰だってやり方さえ間違わなければ、年商1000万円の会社くらい簡単に作れるんだ。少なくとも会社勤めの給料分くらいの利益は出せる。でなければ、世の中にこれだけ会社があるはずないじゃないか」(p64)

「俺にできるんなら、どうしてほかの人にできないの?」
オッサンはこともなげに言う。
やり方を知らないからだよ
そして、こう付け加えた。
「知ろうとしないやつにわざわざ教えるほど、世の中は親切じゃないだけさ」(p66)

起業・ベンチャーの極意

起業について、ベンチャーについて、堀江さんなりのアドバイスが出てきます。

「商売の極意はやりたいことをするんじゃない。やっちゃいけないことを、しなことだ」

「発想を変えるんだよ。成功しようとするのではなく、失敗しないようにする。難しいことじゃないだろ。大切な選択は消去法で考えるほうがうまくいく」(p67)

「ビジネス初心者4ヵ条」

  1. 元手はかけない
  2. 在庫ゼロ
  3. 定期収入
  4. 利益率

これは、堀江さんが、いつも云っている4つのポイントですよね。

ベンチャーは常に攻め続けなければいけない、という話も出てきます。

「攻めるときは、攻め続けなくてはいけない。ここで金を出し惜しみするから、みんな、すべてを失うんだよ。2億儲かった、もう十分だ、これでいい。経営者が満足した時点でベンチャーは終わる。ベンチャーは拡大を止めた時点で死ぬ。よく覚えておけよ」(p116)

たしかに、当時のベンチャーは、拡大、拡大って感じでしたよね。

セレブの集まりにおける厳密な階級<5つのクラス>

ホリエモンの小説ならで、面白かったのが、セレブの世界についての描写ですね。男性には、以下の5つの階層があるそうです。

  1. 某有名芸能事務所に所属するアイドルたち。それに準ずる若手俳優
  2. 上場企業の創業者。ITやファンド系の社長
  3. 年商10億前後の会社オーナー。億単位のギャラを得ている外資系ファンドマネージャー。資産家ジュニア、大物政治家の息子、地方の有力企業の創業者一族
  4. 業界系。テレビ局のPやD、大手商社や広告代理店の社員。年収1000~2000万円のいわゆる一般的な「勝ち組」と呼ばれる人たち
  5. タレントや俳優の卵、無名のミュージシャン、裕福な一流大学生

女性にも同様の階層があり、お互い同じクラス同士が相手をする、という世界だそうです。

たとえば、クラス4の男性は、クラス3の女性には相手にされない、ということですね。

当時のホリエモン

当時を思い出してなんとなく面白かったのが、次の一文。

時間が許すかぎり、マスコミの取材に応じる。若者向けメディアには気さくな兄貴役を演じ、大手マスコミが来ればクソ生意気な若僧を演じた。(p152)

今振り返ってみると、たしかに、そんな雰囲気ありましたよね。あえてやっている部分もあったのでしょう。

最後に、なんとなくよかった文章を紹介して、終わりたいと思います。

すげえよ、オッサン。
答えはすでに出ている。あとは気づくだけだ。
オッサンの言葉がよみがえる。
そうだ、答えはもう出ている。やることも決まっている。(p254)

書評のまとめ・感想

いわゆる「ライブドア事件」が2006年。もう7年前の出来事なんですね。新入社員にとっては、中学生・高校生の頃。

「ライブドア事件」をリアルタイムで知らない世代が増えていくと思うと、なんか不思議な感じがします。

色々な意見を持っている人がいるとは思いますが、時代の寵児であったことは間違いないでしょう。

収監される前は、ニコ生で、堀江さんが語っていたり、ひろゆきさんが自宅に押しかけたり、なんか色々やってました。あういうのを見ると、マスコミで報じられている「堀江貴文像」とは随分違った印象を受けますよね。

『拝金』の内容は、どこまで本当なの?なんて考えながら読むのではなくて、「こんな世界もあるんだな」って読むと、素直に面白い小説だと思います。

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