大学受験、文系も理数必須?『理系の子』を一回読んでほしい。

ニュース考察

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TOEFL義務化」の次は、「文系でも理数必須」のニュースも飛び出してきましたね。

一応、理系院卒なので、ちょっとくらい何か書いてもいいと思う。うん。関係ないけど。

要するに、「大学受験したかったら、TOEFL+数学・理科は必須ですよ」ってことですよね。

なんだろ、この違和感。試験でどうにかしようとする感じ。あと、TOEFL同様、なんで全員が対象なんだってば。

「私立文系、おまえだ、おまえ」な話

まず、簡単にニュースをおさらいしておきましょう。

TOEFLと同様、自民党教育再生実行本部からの提言です。

参考:大学入試…文系でも理数必須、小学理科…専門教諭が授業 自民教育再生本部が提言

ひとつめ。

  • 小学校の理科の授業をすべて理科専門の教師が行う
  • 中・高校の理科の免許を持つ教諭が理科の授業を担当

うんうん、これは良さそう。

授業がつまらなくて、理系が嫌いになる人もいます。文系出身の小学校の先生よりは、理系出身の先生に授業をしてもらうっていうのは、いいですよね。

ふたつめ。

    • 高校で理数科目に重点を置く文部科学省指定の「SSH」の生徒を倍増する
    • 特に優れた生徒を対象とした「超SSH制度」の導入も図る

うん。これもいい。

とことん理系に強い学生を育成する、というのは、素晴らしいことだと思います。

つまりは、理系に興味を持つ生徒を増やし、さらに理系人材の強化をしよう、という流れですね。

「SSH」は、「スーパーサイエンスハイスクール」の略で、理系人材育成の高校のことのようです(参考:SSHとは)。

みっつめ。

  • 文系を含む全ての大学入試で理数科目を必須とする
  • 私立文系にも理数科目を必須にすることで、中高校の理系の授業時間が増えることを期待。

ダウト。いやいやいやいや・・・ちょっと待って。

なんか、色々おかしくない?

今回は、そんな話題です。

理数科目を必須にしたら何がよくなるの?

思いついたまま、色々書いていきますね。

勉強嫌いの生徒が増えるのか、理系好きな生徒が増えるのか

提言内容だけ読んでいると、エリートな皆さんのロジックとしては、

私立文系にも理数科目必須⇒

  • 理系の時間が増える⇒(゚д゚)ウマー
  • 理系が増えるんじゃない?⇒(゚д゚)ウマー

って感じでしょう。

でも、実際は、

私立文系にも理数科目必須⇒

  • 数学わからない⇒学校がつまらない
  • 数学できない⇒勉強なんか嫌いだ!

っていう学生が続出しますよね?で、大学に行かない生徒が増える、

それが教育?

そもそもの目的は、どこにある?

理数科目を必須にする目的は、以下の2つだったら、どっちなのでしょう?

  1. 優秀な理系人材の育成と、理系の増加・底上げをしたい
  2. 分数の計算ができないような大学生をなくしたい

1のように強みを伸ばしたいのか、2のように弱みをなくしたいのか。

1と2両方を一気に解決しようとするから、おかしい話になってくるのかな、と。

1であれば、「全員」である必要はないし、2であれば、「入試」にする必要はないと思います。

弱みをなくして、強みをおさえるのか

TOEFLでも全く同じ話なのですが、日本の学生全員が万能なエリートである必要はありません。

1点突破の強みが活きるような道を作ってあげるのも、教育ではないでしょうか。

当然、エリートの育成は、絶対に必要です。でも、それが全てではない。

たとえば「歴史が大好き。でも数学は苦手」な学生は、どんなに優秀でも、一流の私立大学は進学できませんよね。

なんだろ、さかなクンみたいな人が、淘汰されていく未来(さかなクンは理系ですが)。

「数学ができる=優秀」「英語ができる=優秀」だけではないと思いませんか?

イノベーションを進めたい、と提言しているわりには、やろうとしていることは、多様性を排除した画一化。これいかに?

受験に理数科目が必須になれば、理系好きの子どもは増えるのか?

小学校の理科の授業を充実させよう、っていう提言は素晴らしいと思います。

でも、なんで

理系授業の充実 ⇒ 全員理数科目必須だ!

って、一気に話が飛ぶんでしょう。ロジックがおかしい。

記事だけ読むと、むしろ、

受験で理数科目必須 ⇒ 理系授業の増加 ⇒ 理系人材の育成になる

とさえ、読み取れます。

そうではなくて、

理系授業の充実 ⇒ 理系好きの生徒増加 ⇒ 理系人材の層が厚くなる

だと思いませんか?

大学受験に理数科目を必須にすれば、理系好きな子どもが増えるのでしょうか?

大切なのは、「理系に興味を持つような教育を行うこと」。大学受験の試験科目の話ではない。

それでも、理系が苦手な生徒は、別の強みを伸ばしてもらえばいいじゃない。

なーんて思ったります。

ここで登場『理系の子』

で、ようやく、『理系の子』に触れていきますね。

TOEFL義務化の記事化でも簡単に触れました。今度、ちゃんと書評でも書きたいと思います。

「インテル国際学生科学フェア(ISEF)」という高校生科学オリンピックが毎年アメリカで開催されています。世界50カ国1500人の高校生が出場。

この本は、ISEFに出場する13人の高校生のエピソードが綴られています。感動のエピソードばかりです。

科学のノンフィクションなのに、なぜ泣けるか?それはぜひ「科学の子」を読んでみてください。たとえば、こんなエピソード。

ある男子生徒の家族は、打ち捨てられたトレーラーに住み、暖房もなければ、湯も出ない大変貧しい暮らしをしいられていた。そこでこの生徒は、町でかき集めたガラクタを使って太陽エネルギーを利用した暖房器具を作り上げた(p17)

映画化できるノンフィクションだと思います。

「科学の子」を読んでいて一貫して感じるのは、「科学って、こんなに楽しいんだな」っていうことです。

本の帯のキャッチコピーが、内容を一言で表していて、秀逸です。

『科学はこんなに楽しく、熱い』

子どもの興味に対する周りのサポート、ISEFのようなコンテスト、優秀な学生に大きなチャンスを与える文化、多大な奨学金。

「科学の子」に登場する高校生は、優等生ばかりではありません。むしろ、教育の機会が十分に与えられていない生徒、家計が苦しい生徒、人とうまくコミュニケーションが取れない生徒、そういった生徒が中心です。

生徒の持った興味を伸ばし、家族、教師、企業や国はチャンスを与える。優秀なら、奨学金や大学入学の機会を得られる。潤沢な資金で、ISEFの準備ができる生徒ばかりではありません。でも、うまくいけば、道がひらける。

こういう環境こそが、優秀な理系人材が育つ土壌になるのではないでしょうか?

家庭が貧しくても、学校の成績が悪くても、科学に対する才能があれば、引き上げられるチャンスがある。

「科学が面白い」「科学に興味を持てば、こんなチャンスが得られる」「科学って熱いんだな」

そう思う生徒が増えることこそが、理系人材育成の土台になるのではないかな、と思います。

理数科目を必須にする前に、「理系って楽しい」って生徒に思わせる機会を全力で提供していくことこそが、必要なのではないでしょうか。

逆にいえば、理数科目必須によって、文系が好きな生徒の、学習に対する意欲を失ってしまうことになりかねません。

「なるべく多様な科目の学習機会を作って、生徒が色々な興味を持てるような工夫をすること」、さらに、「その興味がうまく引き伸ばされるチャンスが設けられていること」。

そんな教育環境になるといいのかなぁと漠然と感じています。

何度も書きますが、エリート教育はエリート教育で、また別のアプローチで、育成していく必要があると思っています。それ以外の人たちにとっては、上記のような学習環境があるといいと思うのですが、いかがでしょうか。

まとまりがありませんが、このへんで!

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