[日想]『嘘をつかない』ことは、難しい。『就活先生』を読んで。

日想

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エイプリルフール。嘘を楽しむ日。逆にいえば、普段は嘘を言わない前提の毎日。

ふと、考えてました。私は、日々嘘をついていないのだろうか、と。

就活先生: 内定を勝ち取るための31のステップ

なぜ、そんなことを考えたのか。実はエイプリルフールが理由ではありません。

「嘘をつかないなんて、当たり前」ですか?

3月31日、たまたま読んでいた本がありました。それは、『就活先生』。

「え?就活本?」って思うかもしれません。

確かに就職活動の本です。でも、「高校生」の就職活動。著者は高校教師で、高校の進路相談、就職対応をしている先生です。

就活の授業で、まず生徒に言うこと

この先生が、授業で、生徒に一貫して伝えていることが、2つあります。

  • 「なぜか」を考えること
  • 授業中決して「嘘をつかないこと」

「嘘をつかないなんて、当たり前でしょ」。そう思いますよね?

そう、当たり前なんです。

でも、『就活先生』を読んでいたら、思ったんです。「あー、自分って嘘をついてるな」って。

嘘のカタチ

日常での「嘘をつく」という言葉は、まず、2つ意味合いが頭に浮かびます。

  • 「ごまかす。言い訳をする」 ⇒ 自分に対して
  • 「騙す」 ⇒ 相手に対して

『就活先生』の授業では、茶髪が禁止されています。でも、一人の高校生が、茶髪のまま授業を受けに来ます。

先生「その髪は染めてますよね?頭髪のルールは担任の先生から聞いているよな」

生徒「あ、はい、直すのを忘れてしまって」

先生「なんで直してこなかったの?」

生徒「すいません。一昨日担任の先生に言われたんですが、ちょっと忘れてしまって…」

先生「忘れたか。面接トレーニングでは嘘をつかないでください、と言ってますよね。担任の先生に注意されたときには、『はい直してきます』と答えたんでしょう?まさか、染め直すのはヤダと言ったわけじゃないよな。だったら、過去にさかのぼって嘘をついたことになってしまいますよね。分かる?『はい』と言った時は、自分でも嘘をついていると思わなかったのかもしれませんが、嘘は嘘だ」(p70)

こういう『嘘』です。こんな「ごまかす」「だます」といった『嘘』は、つかない人も多いでしょう。

だから、「嘘をつかないなんて、当たり前」となるわけですよね。

でも、私が「嘘をついてるな」と思う『嘘』は、別の『嘘』です。それはなんでしょうか。

この会話の続きに、そのヒントがあります。

あなたは、正直でいられますか?

先生「君さ、今からでも遅くはないので、事実を正直に話す努力をしてみない?今自分の進路を決めようとしているわけですよね?これから、大事な決断をしていかなくちゃならない。でも、大切な事って、自分に嘘をついていたら決められないんじゃない?

正直になる勇気、それが人本来の真摯な姿勢につながると思うんですよね、私は。言いたくないことまで話せと言っているわけじゃない」

そうなんです。

「自分に嘘をつくこと」

無意識にやっていませんか?私は、『就活先生』を読んでいて、あらためて気づかされました。

「自分は、なんて嘘を繰り返しているんだろうか」と。

「なぜ就職したいのか?」「なぜ働きたいのか?」

先生は、生徒に何度も質問します。

「なぜ働きたいんですか?」

生徒は答えます。「自立するため」「親に迷惑をかけたくない」「自己実現のため」。

「本当にそう思っているのか?それだけなのか?働くってなんだと思う?」何度も問いただします。

この繰り返しの中で、「自分がなぜ働くのか」ということを生徒は考え始めるようになります。

もちろん、生徒としては、「お金のため」「そうするのが普通だから」というのが本心でしょう。

でも、これは自分本位なんです。企業側の視点がない。「働くとは何か」を考えることで、しっかりとした職業観ができてくる。そうすると、内定が取れるようになってきます。

ちょっと長いエピソードですが、引用します。

「たとえ自分の利益にならなくても、自分が辛くても、他者のために努力したり、困難を引き受けたりすることって、あるんじゃないでしょうか。

一つエピソードを紹介しようと思う。

茨城県内に光ファイバーケーブルや機器用電線を製造している会社があります。東日本大震災の直後、この会社は、自分たちの作っている電線を福島第一原発まで持っていく使命があった。その電線は、東京電力の要請に応じて、不眠不休の突貫工事で作った電線だったそうです。

しかし、現場には入れない。東電に引き継がざるを得ない。その時、この人たちの心にあったのは、どういう気持ちだったのか。誰か想像できますか?」

生徒たちは真剣なまなざしで聞いている。

「『自分たちも一緒に行きたい』という気持ちだったというんですよね。

必死で作り上げた電線。危険を承知で自分たちが運び込みたい。でも、それを東電に託して、境界線で別れる。受け取る東電も、その電線にどういう思いが込められているのか、分かりすぎるほど分かっている。託す側と受け取る側の一瞬のコミュニケーションがそこにあったと思うんですよね。別に何も話さなくても、伝わるものがあったんじゃないか。

その瞬間を想像すると、私は、何か励まされるような思いがするんですよね。胸を衝かれる思いがこみ上げてくる。人のために働くとは、なんと輝いて見えるものだろうか、と思う。誰かに褒められるとか、利益のためではなく、それを超えたところにある仕事。人のためにモノを作り、働くことの神聖さ。

こうした現場の人たちを知るにつけ、『働くことは自己実現』という耳ざわりのいいフレーズに、居心地の悪さを感じてならないんですよね」(p53)

このエピソードを読んで、「ブラック企業だ」「社畜礼賛だ」と言うのは簡単です。でも、それ以外にも考えさせられることがありますよね。ましてや、相手は高校生です。

安易に答えを出さずに、自分に対して問い続けてみる。言い訳や綺麗事ばかりを考えない。正直に自分と向き合う。

大切なことだなと、『就活先生』を通して、あらためて思いました。高校生の就活について書かれた本なのに、今の私にも十分響く内容です。

毎日、嘘をつき続けている

「自分に対して、いつも正直であること」。私には、実に難しいです。

頭に浮かぶのは、自分に対する言い訳ばかり。言い訳がどんどんうまくなってきます。

「なぜこの仕事をやっているのか」なんて、最近は、考えることもありませんでした。

一方で、自分のキャリアをよく考えます。そのとき、自分に嘘をついていないのか。綺麗事ばかり考えていないのか。

自分の思いに嘘をつかえずに生きているのか。

本を読みながら、思いを巡らせていました。

「嘘をつかない」ことは、なんて難しいんだろう。当たり前のようで、当たり前じゃない。

そう思うのは、もしかしたら、私だけなのかもしれません。でも、頑張っていかないといけませんね。

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